理学療法士の仕事は平等?(マタニティハラスメントの最高裁弁論によせて)

理学療法士、女性、妊娠、ということで、ニュースでも取り沙汰されてるマタニティハラスメントの話に思うところを。ニュースベースの話なので、詳しくはわからないことを承知の上で。(最高裁で継続されてるとこを見ると、一審二審とは違う見解になるんだろう。)


まず、病院内での理学療法士の仕事は体力仕事であることが多く、患者との対峙もマンツーマンのことが多いから、妊娠中にフルで継続するのは不可能。

つぎに、病院勤務の理学療法士はそもそも通常はその他業界以上に男女が平等に扱われやすい仕事。客観的にも主観的にも。なぜなら時間単位の診療報酬で個人の性別、能力、才能に関わらず働いた量だけ病院に還元されるから。この点はほかの医療職ともちょっと違う。またこれについては別の論点でかなり問題があるけど、とりあえず。

これらのシンプルな事実だけ考えても、身体的に同じ量働けるということが前提で成立している平等性が、本来の平等とは少し違っているということ、が実際的に問題になったいい例だと思う。


会社のパソコンベースの仕事だと、この視点は曖昧になりがちだと思う。なぜなら、体力の意味するところは就業時間がメインであって、時間的なコントロールがイコール管理者側が行うべき配慮になるから。この場合、管理者側は役割を形にすることが簡単だ。配慮を受ける側も、自分の仕事を時間の意味でコントロールすべきことが明確なのでわかりやすい。(そんな単純ではないけどとりあえず。)

でも、仕事自体が力仕事を含めた体力と引き換えである場合、管理者側の視点で何を持って平等を図るかはかなり難しい。そして、被雇用者側にとっても、自分がどのようにそれ以外の方法で職場に貢献できるのかが、わからない。実際、もしわたしがいま急性期病院の現場にいたら、専門職としての技術を活かせずに何のために存在しているのかをかなり真剣に悩むと思う。悩んだ末に一旦辞めるかもしれない。そこに逃避の気持ちは全く無く、専門職としてのプライドが維持できないというが理由で。

(ちなみに今回の事例では、女性は管理職でもあった。もちろん組織業務としては理学療法士にも事務仕事は存在するし、専門職集団なのでその統括管理はなかなか大変(だとわたしは思う)。副主任、主任、と言った場合、ヒラとの違いはそこの仕事をするかどうか、というのが一般的なので、部署を移動したといってもやるべきことはあったと思う。)

通常、間違いなく男女が平等に扱われてる仕事(ただし体力仕事)において、女性が妊娠をした場合。
こういう例ってなかなかない。論点は単純に、妊娠しても平等に扱ってもらえるかどうか。妊娠がキャリアのハードルにならないか。

最高裁まであがってきたからには、せめて法律の範囲内で、平等が護られることを望みます。

でもきっと、妊娠のために身体で働けなくなって、担当の患者さんを持てなくなった悔しさは、キャリアのことなんかよりも当事者の彼女を苦しめていると思うよ。

↓いつまでリンクが有効かはわかりませんが念のため。
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASDG18H13_U4A900C1CR8000/
by ai_indigo | 2014-09-19 07:38 | PTとして
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